
〈舞人〉 鍾馗大神(しょうきだいじん) 大疫神(だいえきじん) 〈採物〉 神:茅の輪,鉾 鬼:鬼棒 〈解説〉 素戔嗚尊は唐の国に居た時、「鍾馗大神」と名乗り、虚耗(きょう)という悪疫神を退治する。 日本に帰国したとき、虚耗を退治した怨念であろうか、虚耗の一族の残党が我が国に渡来してきてしまう。この大疫神は国々村里を荒れまわし、人々をありとあらゆる疫病で苦しませていた。 鍾馗大神は左手に茅の輪、右手に鉾を持ち、激闘の末、大疫神を見事退治する。 〈豆知識〉 ・「鐘馗」と表記することもある。 ・「鍾馗」は石見系の神楽の中で最も尊ばれる演目の一つであり、神楽団員の中でもベテランの人材が舞う花形演目ともいわれる。 ・この神楽は、備後風土記の茅の輪伝説と謡曲鍾馗を合体したものと伝えられる。 ・大疫神は今で言う「ウイルス」や「細菌」などを指す。従って、姿を見ることは到底不可能である。 しかし鍾馗大神は「茅の輪」を用いて大疫神の居場所を突き止め、鉾を持って退治する。例えて言うのであれば、「茅の輪」は「顕微鏡」、「鉾」は「メスなどの医療器具」であろう。 ・茅の輪は一度くぐれば疫病から逃れられるという伝説から、茅の輪くぐりの祭事が今でも執り行われている。 |